倫理の本棚ブログ

倫理研究所の出版物をご紹介します。

無痛安産の書

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丸山敏雄著
新世書房/¥1,100(税込み)
B6判 132頁

 

日本では昨年、1年間に生まれる子供の数が100万人を割りました。
漸減する出生数に歯止めをかけられない理由として、
子育てはお金がかかる、仕事との両立が難しい、
そもそも少子化で母親となりうる女性が減っている事などが報じられていますが、
いずれにせよ、現代は「出産」にマイナスのイメージを抱く人が増えているようです。

しかし「出産」とは洋の東西を問わず、
時代がどれほど移り変わろうと、人間の聖なる営みとして称えられ、
歓喜の中で迎えられるべきものではないでしょうか。

戦後、「純粋倫理」と呼ばれる生活法則を発見・唱導した著者は、
喜びの人生は、無痛歓喜の安産から始まるのだと喝破し、
その要諦を本書に著しました。

 

 ただ苦しみが無いというだけでなく、たとえようもない喜びの中に、玉のような愛児が産まれてくる、これが本当のお産です。
 無痛安産は、新しいお産の仕方ではなく、人間が地球上に現われて以来の正しいお産の仕方で、これが普通のお産であります。
 いや、一切の動物、すべての生物がそうであるところの「自然の出産」であります。
 本書は、どうすれば無痛歓喜の安産ができるか、その道を、自然の真理の上から、また数限りない体験の上から、はっきりと示しました。(「序」より)

 

喜びに満ちた安産は、
身体に生命が宿ったときにはすでに始まっています。
本書では、妊娠、胎教といった時期から、産前・産後にいたるまで、
お産に対する間違った先入観が難産を招くことを一つひとつ指摘しながら、
妊婦を正しい自然の出産へと導きます。

 

 喜びに満ちみちて感激の生活を送ること、これがほんとうの暮らしでありますが、特ににんしん中は、朗らかに、うるおいにみちて喜びの生活を続けましょう。そして、いつも変わらぬ感謝感激の心で通したいと存じます。

 人は、こうして生きていることでさえ、なみなみならぬ大きい恵みであります上に、胎内に愛児をやどしていることは、私どもの生命が、この子によって永遠に不滅に生き通し、人類は、にんしんによって初めて永久に続いていくのであります。まことに胎内の小さな命は、宝の中の宝、世の中にこれ以上大切な宝はありますまい。黄金にも玉にもまさる宝をいただいた日々の暮らし、そうした大事なからだとなったのであります。(中略)世界一の宝石にも遥かに優る人の命を、胎内に静かに宿しているのが、ただいまのあなたのお身体です。何と大切な、何と尊いからだでしょう。(「二 感激の生活」より)

 世に「身重」ということを申して、にんしんを特別なものと考えがちなのですが、もちろん身が重くなるのも事実だし、責任を負わされていることも事実ですが、それかといって心をまで重くして、きゅうくつにする必要はありますまい。自重するのはよいとしても、何だか特別なよそ行きの心になって、特別扱いにすることは大変なまちがいです。(中略)
 何と申しましても、出産を重くする第一の原因は、恐れるということです。なぜ恐れるかと申しますと、苦痛があると思うからです。苦しみが無くかえって楽しいのですから、何の恐れるわけもないのです。(「四 いろいろの間違い」より)

 

なかでも、本書の中核をなすのが「安産五則」です。
著者は、お産に臨む妊婦の心構えを、
分かりやすい言葉で次のように記しています。

 

一、お産は、自分の力でするのではありません。大自然の大きい力で、必ず無事に生ませていただく、きっと安らかに生ませていただく。すべてを、この偉大な力に、お任せ致しましょう。

二、いつだろう、いつだろうと、待ち過ぎていらいらしたり、気をもんだり致しますまい。ちょうど良い時・よい所で生まれます。みなお任せして、落ち着いた心で暮らしましょう。

三、産気づいても、すべて自然にまかせておりましょう。自分で産もうと、りきんでみたりあわてたり致しますまい。

四、女のほまれ、妻のほこりと、ちょうどスタートラインに立ったような引きしまった心で、何も考えず、何も思いますまい。

五、もし万一、心がきまらぬ時は、日ごろ信ずる神仏の御名をとなえ(心の中で)、また、我が母の名を一心に念じましょう。そこに偉大な力が現れて、いとも安らかに生まれてまいります。

恵みによって宿し、恵みによって生まれます。ただただ自然に任せて安心しておれば、おのずから歓喜の安産がめぐまれます。(「七 安産五則」より)

 

本書は昭和23年8月に刊行以来、
大勢の読者に読み継がれ、妊婦を正しいお産へと導いてきました。
本書を通して、単に輝かしい愛児の誕生というだけでなく、
家庭や事業の繁栄をも産み出だしていく源となる、
歓喜の安産の体験者が一人でも多く出ることを願ってやみません。

 

《目次より》


  産をたたえて
一 光栄のにんしん
二 感激の生活
三 美しい心
四 いろいろの間違い
五 変わらぬ生活
六 胎教
七 安産五則
八 お産の前後
九 安産の要因
十 間違いやすいこと
十一 無知な誤解
十二 偉人の出生
十三 新日本の出発
十四 無数の体験
十五 つわり
十六 質問に答えて
十七 無痛安産の体験

 

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新世(2017年4月号)

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倫理研究所/¥200
A5判 112頁

 

春は進級や進学など、子供を取り巻く環境が大きく変わる季節です。
わが子の健やかな成長を願い、子育てに真摯に向き合っているからこそ、
いろいろな悩みや戸惑いを抱えてしまうこともあるでしょう。

そこで、4月号の特集は「すくすく子育て『親育ち』」をテーマにしました。
4名の母親による座談会と2名の子育てレポートを通して、
親と子が共に成長し、円満な家庭生活へとつなげる、
子育てのヒントやポイントをお伝えします。

 

 子供が生まれたときって、一瞬たりとも目が離せないぐらい可愛い。でも、その感動を忘れちゃうんですよね。段々と子育てに追われていくうちに。自分の思い通りに育たなくなると、もう悪い子みたいな感じになってくる。(中略)
 この気持ちを世のお母さんたちが忘れずに、時々思い出して子育てにあたってくれたらいいなと思います。

 特に思春期の頃、子供はなかなか言うことを聞きません。反抗されると、お母さんは「キィー」って頭から角が出てくる(笑)。「みんな、同じなんですよ。純粋倫理の子育ては、もう一人のあなたを作ってあげることよ」と聞いたときにはどんなにホッとしたことか。それを皆さんにもお伝えしています。

 夫から「ちょっと来て」と頼まれた時、子供が泣いていたら、「後にしてよ!」と言わないこと。「ハイ! あなた、今は手が放せないのよ。終わってからでもいいかしら」と。ママさん達も忙しくて大変だけれど、夫の気持ちを優先していくことで、夫婦の絆が強くなり、子供も健やかに育つようになるんですよね。(「座談会」より)

 生活の指針としている『万人幸福の栞』第六条に、「子は親の心を実演する名優である」と記されています。親夫婦が正しいみちを歩んでいくとき、子供は自然と良い方向に変わっていくことを、日々実感しながら生活しています。(「レポート①」より)

 

子育ての原則は、
「子は親の姿勢や心境を見事なまでに映し出す」ということです。

子の姿勢に教えられて生活を正すとき、
親もまた、わが子と一緒に人として成長していくのです。
「まとめ」では、そうした親子の相関関係について解説しながら、
良いつながりを生む実践のポイントについて、
具体的な事例を交えながらお伝えします。

 

 子供の行動を必要以上に心配せず、「あなたを信頼しているよ」というメッセージを送ってみましょう。〈自分は親から信頼されている、愛されている〉という安心感は、子供の心に自己受容や自己肯定感を育みます。(中略)

 子育ての過程で親は、様々なことに気づかされます。中には自分の親との関係を振り返り、親に対するわだかまりに気づく方も少なくありません。(中略)こういうことには早い、遅いはありません。気づいた時が無二の好機なのですから。(「まとめ」より)

 

連載の「新世言」では、
今や日本国民の二人に一人がアレルギー疾患にかかっている現状と、
アフリカや南米の一部の部族では花粉症や喘息がない現状とを比較しながら、
何事も中道が理想としたうえで、
衛生面における日々の心構えについて提言しています。

 

純粋倫理の学びと具体的な実践を記した「実践の軌跡」では、
毎晩夫の深酒に悩む妻が、純粋倫理を学び、
夫に寄り添い心を通わせることで夫の飲酒癖が止まり、
やがて家の継承問題の解決にもつながった体験を掲載しました。
さらに、家業の倒産後、再就職先で活力朝礼と出会い、倫理経営の醍醐味を知り、
妻の支えを背景に独立後、頼もしい後継者も得た経営者の体験を掲載しています。
それぞれ解説と併せてご一読ください。

 

《目次より》

巻頭言
・新世言「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」丸山敏秋(倫理研究所理事長)

巻頭連載
・歩み続けるひとびと「気と骨」(85)-中根喜三郎(江戸和竿「竿忠」五世・四代目)

特 集
・すくすく子育て「親育ち」

  ・座談会「『子育てセミナー』が子育てをサポートします」
  ・レポート「笑顔を忘れず。娘と一緒に成長します」
  ・レポート「「『だいじょうぶ』長女の言葉に励まされて」
  ・まとめ「子供は親の心境や姿勢を映し出す尊い存在です」
連載
・実践の軌跡

  「次女の孫夫婦が家の継承者に」
  「亡き父が繫げた“倫理”との出会い」
・明日へのエール28「知識を行動につなげよう」
・グローバル時代の倫理運動6「南カリフォルニア倫理法人会②」
・わくわく子育て親育ち15「親からの信頼と愛情が、子供にとって一番の支えに」
・美しきあきつしま4「先人の知恵 石垣の里 愛媛県外泊」
・古典を旅する 日本の源流を尋ねて4「伊勢物語 終わりのない旅」安田 登(能楽師)
・大地に生きる4「リサイクル巣材で子育て シジュウカラ」宮崎 学(写真家)
・世界の家族ごはん4「フィリピン編」
・和食のある食卓4「日本の知恵の食材・乾物」藤井まり(精進料理研究家)

 

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罪の倫理 気づきにくい不幸の原因-やさしい倫理シリーズ⑧

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倫理研究所
新世書房/定価 ¥900(税込)
新書判 220頁

 

人間は集団(社会)を形成し生活しています。
集団生活を維持するために、法律上の規則を作り、
違反者には多くの場合、その罪に対する罰則や刑罰が与えられます。

法律上の罪に対し、倫理上の罪は、
違反したからといって刑罰が与えられるものではないので、
理解しにくいものです。
また、当人は良かれと思ってやっている事が、
実は相手や周囲に対して悪い結果をもたらしている場合などは、
これまでは罪として明確に指摘されてきませんでした。

こうした、知らず知らずに犯す罪を、
倫理研究所創立者・丸山敏雄は「美しき罪」と命名し、研究を重ねました。
著書『実験倫理学大系』の第二章第六節では、
「倫理生活における罪の実証」として倫理上の罪を「破約の罪」「怠惰の罪」
「私的感情の罪」「隠蔽の罪」「詐欺の罪」「人を困らせる罪」
「性をみだす罪」「物に関する罪」の8つに分類し詳述しています。

本書は、そうした倫理上の罪について「美しき罪」を中心に、
それが人生の幸不幸とどのようなつながりを持つかについて、

具体的な事例を交えてお伝えします。

 

 何かにつけ遠慮して他人に譲ることが美徳と思っている人がいる。自分からさっさと行動すればいいものを、「私は結構です」と引き下がる。(中略)

 ある会合での出来事である。役員改選の際に、ベテランの幹部が突然辞任を申し出た。予期しない事態に当惑した中心者はあわてて若い後任者を任命して、どうにか態勢を整えた。ところが後になって当人が「遠慮して辞めると言ったのに、引き止めてくれなかった。やめさせられた」と上層部に訴え、騒ぎが大きくなったのである。一人のために組織は大混乱である。(中略)

 本人は謙遜の美徳のつもりだろうが、そのためにどれだけ周囲が迷惑を被っているか。スムースに流れるはずの高速道路を渋滞させているようなものである。(中略)

 純粋倫理の重要な実践に「即行」がある。気づくと同時に実行することで、スナオの実践の第一歩である。これは言い換えると正直ということだ。遠慮してすぐに実行しないのは自分の本心を偽ることであり、それが罪となるのである。肝心なときに第一感がひらめかなくなるばかりでなく、本当のことが言えない人間になっていく。本心を明かさない人を信用するわけにはいかない。(「第二章 性癖における『美しき罪』」より)

 Tさん夫婦は学生時代から音楽を志し、長い交際の末結婚した。夫は放送合唱団に加入。妻は音楽講師として生計を立てた。夫と妻の垣根を越え協力しあう、友達のような楽しい生活を送っていた。

 ところが、結婚五年目に三人目の子を妊娠したとき、妻は現在の不安定な職業と収入に不安を覚え、〈合唱団をやめて高校の教師になって欲しい〉と願うようになる。この妻の突然の申し出に、夫は困惑した。「私をとるの! 合唱団をとるの!」とつめよられ、夫は観念して教師に転職。

 このときから、万事計算どおりの結婚生活が崩れだした。夫が酒におぼれ始めたのである。酒を飲んでは物にあたり散らす。子どもはおびえ、喘息ぎみの長女に発作が起きる。(中略)

 夫の気持ちや感情を無視して、一方的に妻の考えを押し通したところに根本原因がある。(中略)妻は、家庭のため子どものためという大義名分を楯に、自分が間違ったことをしたという意識がない。(「第三章 知らず知らず重ねる妻の過失」より

 

法律上の罪は、法律を知らなくても、犯せばそれは罪であり、
違反者にはいやおうなしに罰則が科せられますが、
倫理上の罪もこの点は同じです。

大自然」がこれを見逃さず、赤信号(苦難)という形で反省を求められることを、
本書では多くの事例を通して伝えています。ぜひご一読ください。

 

 相手に感謝されない働き、即ち、相手(又は物)を苦しめたり、困らせたりする働きを「倫理上の罪」といい、逆に相手に喜ばれ、感謝される働きを「徳」という。この白(徳)が多いか、黒(罪)が多いかによって人生の勝負が決まるのであるから、「倫理上の罪」は、人生の不幸に直結しており、どんなに努力して、よかれと願っても、罪を犯しながらでは前進しないのは当たり前である。むしろ、なぜこのような不幸に見舞われるのか、原因が分からないのは、こうした罪の現れであるケースが多いといってよい。(「終章」より)

 人は、他人の間違いや欠点はよく目につくが、自分の間違いにはいっこうに気づこうとしない。自分は正しく生きていると思い勝ちである。が、これが己の成長を阻んでいることに気がついていない。

 自分の至らなさを思い知っている人のほうが救われる。真剣に生きようとする。罪も同じで、罪の深さを自覚したときから、自己の変革が始まる。即ち、「罪の自覚」が真人生開眼の第一歩と言ってよい。このことは、本書に挿入されている多くの体験談が雄弁に語っている。(「あとがき」より)

 

《目次より》

序章 積もり積もって罪となる

第一章 罪の自覚と新生へのみち
みんな罪びと/大自然の目はごまかせない/真人生への第一歩

第二章 不幸の源泉となる性癖
性癖における「美しき罪」/肉体に現われた性癖上の罪

第三章 家庭をこわす妻の罪・夫の罪
知らず知らず重ねる妻の過失/女性軽視こそ性をみだす源/生命力を枯らす性の罪

第四章 自立できない子どもたち
伸びやかな芽を摘む錯覚の愛/子の行く手を左右する親の生き方/親が罪の種を蒔き、子が収穫する/子ぼんのうという名の支配欲

第五章 嫁姑の葛藤と生命の継承
婚家の人間になりきれない/「人生の先輩」の三つの罪/生命の流れを絶やす罪

終章 消罪が産み出す生命力
よいことの積み重ねが徳となる/消罪の念が産む巨大なエネルギー/目に見えない「徳積み」のたまもの

 

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