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倫理研究所の出版物をご紹介します。

信じる力

 皆さんこんにちは。

今日は『信じる力』をご紹介します。

 

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『信じる力』
戸田徹男著
新世書房/定価¥500(税込)
B6版 176ページ

 

一般的に、学校や職場などから身を引き、
自分が安住できる場所に逃避することで生活を維持している人を
「ひきこもり」と呼びます。

かつては小学校、中学校、高校に通学しない若者を指して、
「登校拒否」と呼んでいましたが、
近年では年齢の幅が拡大し、また長期化するなど、
「ひきこもり」は深刻な社会問題となっています。

では、なぜ「ひきこもり」は起きるのでしょうか。
どうしたらわが子を「ひきこもり」から解き放つことができるのでしょうか。

本書は長年にわたり若者の「ひきこもり」を研究してきた著者が、
11組の親子を取り上げて解決への道行きを示した事例集です。

 

長年、ひきこもり問題の研究をしてきた立場で言えるのは、ひきこもりの子を持つ親は上辺だけの仲の良い夫婦が多いということである。争ったり揉めたりすることを恐れ、気まずい雰囲気になると逃げ出す父親。子供の頃、両親の揉めごとを見て育ち、腫れ物に触るように夫に気を遣う母親などである。(第一章「妻になる」p.40)


「ひきこもり」の解決の糸口は家庭にあります。

学校や職場に適合できず、
自分の殻に閉じこもってしまう子を持ったとき、
親の多くが原因は学校や職場にあると考えたり、
あるいは周囲とコミュニケーションを取れない子に育てた自分たちに責任があると思い悩むのではないでしょうか。


しかし、周囲や自分自身への責め心や後悔の念に苛まれ、
子供への過度な遠慮に心を砕き、
または過保護ともいえる過干渉を続けている家庭では、
いつまでたっても解決には至りません。

現状に囚われず、
子供の持つ無限の可能性を信じて疑わず、
夫婦が互いに信じあい認め合い、明朗で愛和な家庭を築くこと。
本音で語り合い、助け合い、共に成長できる場として、
家庭が本来の力を発揮することが、
「ひきこもり」を解決する唯一の道であることを、
11組の事例を通してお伝えします。

 

 子供に対して親は毅然としていることが大切です。母親は〈子供がこんなことになったのは自分の育て方が悪かったから〉という負い目を持つせいか、子供に対して遠慮したり、気兼ねしたりして、子供の顔色や言動に振り回されがちです。
 なぜ振り回されるかというと、夫婦の絆が壊れ、家庭に母親の居場所が確保できていないからです。夫婦生活の改善によって、自分の居場所が確保できると、母親は自信を持って子供に接することができます。その時、子供のほうから親のほうに歩み寄ってくるのです。(「おわりに」より)

 

本書がわが子のひきこもりに悩む皆様にとって、
少しでも問題解決へのヒントになれば幸いです。
 

 

《目次より》

第一章 妻になる
 母が我慢と決別した時、子供が動いた

 妻は夫をどこまで信じきれるか
 甥の世話で人との距離を学ぶ
 父親を家庭に引き戻す役割
 家庭をあるべき姿に

第二章 自分を受け入れる
 素直に甘える心を育む

 愛されている実感が生きる支えに
 嫌いだった自分を好きになる

第三章 感謝の心を持つ
 子供は親の思い通りにはならない

 統合失調症から立ち直るまで
 嫁姑の不仲から登校拒否に
 

 

※本書は現在販売しておりません。(2016.10.17記)

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