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地球倫理の時代

皆さんこんにちは。

今日は『地球倫理の時代』をご紹介します。

 

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『地球倫理の時代』
丸山竹秋著
新世書房/定価¥1,000(税込)
新書判 202ページ
 

 

昭和60(1985)年、
著者は「地球倫理」を提唱しました。
それは倫理研究所が長年にわたって研究対象とし、
実践・普及のよりどころとしてきた「純粋倫理」に基づいており、
倫理研究所は現在、「地球倫理の推進」を活動理念の一つとしています。

倫理とは本来「人として守り行なうべきみち」であり、
善悪・正邪の判断において普遍的な基準となるものです。
あくまでも人が主役であり、
人対人の間に限って存在する“みち”というのが一般的な見方です。

しかし、著者は従来の倫理観を踏まえつつ、
さらに視座を高く視野を広げて地球倫理を提唱しました。

 

 「人の踏み行うべきみち」は人と人の間に限られたものではなく、人以外のもの、つまり非人間のものとの間にもあるべきものである。
 人はもともと人から生まれ、人の間にあって生存しているが、人以外の生物も多く人のまわりに存在している。生物ばかりではない、無生物ともいうべき無数のものが人の数よりもはるかに多く人を包囲している。(中略)こうした人以外のものに対する人のみちがあるのは当然である。それらを倫理や道徳に関する学がほとんど無視してきたのは大きな片手落ちであった。(序章「地球倫理とは何か」より)

 

人対人のみちを超えて地球的な視野を持ち、
環境保全の実践を含めたグローバルな倫理として提唱しているのが
地球倫理です。
つまり、地球の安泰を最高善とした上で、
自分を取り巻くすべてのものに対して「守り行なうべきみち」ともいえます。
 

(1)人間の、人間に対するみち
(2)人間の、地球生物に対するみち
(3)人間の、地球無生物に対するみち
(4)人間の、宇宙全体に対するみち
 これらをまとめて、地球に生息する人間、つまり地球人としての倫理という意味で、総括して地球倫理というのである。それは環境倫理を含むものであるが、倫理の対象に人間や生物、無生物その他を広く含んでいる。その点が単なる環境倫理とは異なることに深く留意したい。この意味で地球倫理は単なる古来の倫理を超えて、広い意義をもつ。(Ⅰ章「倫理の対象と内容」より)

 

地球に存在する私たちにとって、
地球の安泰こそ最も重視しなければならないこと。
にもかかわらず、エネルギーの大量消費による環境破壊や森林の沙漠化
戦争や核の脅威など、人間の身勝手な行為により、
地球に関する危機は現在もさらに増しています。

著者はそうした行ないに警笛を鳴らすとともに、
地球の危機を防ぐ大道として地球倫理を提唱しました。

「地球倫理学」の序論として著された本書では、
地球倫理を理論的に解説するとともに、
畏怖すべき自然現象や天災に正しく順応するための心構えや、
林業・漁業・農業など “いのち”と共生する産業のあり方など、
幅広い視点から地球倫理の重要性について説かれています。

ぜひご一読ください。
 

 

《目次より》

序章 地球倫理とは何か
   
地球倫理の意味

   地球倫理学の樹立と実践

Ⅰ章 倫理の対象と内容
   
地球倫理の対象

   「みち」の精神性

Ⅱ章 自然現象と不可抗力
   
宇宙への畏敬

   自然と災害
   火山と人間
   火山を知る

Ⅲ章 天災に対する「みち」
   
地震の予知

   地震と防災
   地震自然エネルギー
   天災に対する観方

Ⅳ章 森林との共生
   
森林破壊は人類の自滅

   森林活用と再生への実践
   森林と共に生きる

Ⅴ章 海洋という厳母
   
海恩深謝

   親洋敬潮
   海幸の思想

Ⅵ章 「農」はいのちの根幹
   
「食」と地球人

   尊地愛土
   農耕者として
   地球人の農業倫理

終章 地球は生きている

 

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