「心を探る」生き方リサーチ③ いのちの扉の向こう側
倫理研究所編
倫理研究所/定価 ¥500(税込)
B6判変形 64頁
「心を探る」生き方リサーチの今回のテーマは、
「現代社会における死者と生者の距離」です。
20歳から69歳の男女4,499名を対象に、
〈人の死〉の経験や死別した人を偲ぶ方法などを調査し、
そのデータをもとに日本人の〈死生観〉について考察しています。
例えば、亡き父母を偲ぶ方法については、次のような結果が出ています。
故人を偲ぶために
特別に何かは行なっていない ・・・ 男性 14.5%/女性 9.9%たまにだが、
時間があればお参りをする ・・・ 男性 21.0%/女性 32.9%毎日欠かさず
お参り・仏壇を拝むなどする ・・・ 男性 16.3%/女性 14.3%定期的にお参りする ・・・ 男性 42.2%/女性 39.1%
命日などに
一人でその故人を偲ぶ ・・・ 男性 29.0%/女性 41.7%命日などに、家族や友人・関係者などと
その故人を偲ぶ ・・・ 男性 15.0%/女性 35.0%故人の写真を身近に置いている・・・ 男性 5.1%/女性 5.0%
陰膳などをしている ・・・ 男性 10.1%/女性 8.2%
〈命日〉〈墓参〉といった「何かのきっかけで亡き父母を思い出して偲ぶ」ことが男性の特徴であり、「特にきっかけがなくとも頻繁に亡き父母を思い出して偲ぶ」傾向を持つのが女性の特徴です。
そして、男女ともに約4割の人が、
定期的に墓参を行ない、故人を偲んでいることが分かりました。
また、「目に見えないものを信じる」ことについては次のような結果が出ました。
死後の世界や霊魂は
存在していると思う。 ・・・ 男性 31.1%/女性 45.9%「生まれ変わりや輪廻ということはある」という
感覚を持っている。 ・・・ 男性 30.7%/女性 46.1%
「人智を超えた力の存在や働きがある」という
感覚を持っている。 ・・・ 男性 45.2%/女性 56.8%
「お天道様が見ている」というような
感覚を持っている。 ・・・ 男性 37.9%/女性 53.2%
目に見えるものだけが
すべてではない。 ・・・ 男性 78.6%/女性 88.0%
死者の肉体はこの世に存在しなくても、
「目に見えない存在」として、
身近に「いる」と感じているのは男性より女性の方が高い傾向にあります。
興味深いのは、男性の約8割、女性は9割近い人が、
「目に見えるものだけがすべてではない」と答えていること。
その他、本書に掲載された多くのデータを紐解くと、
他者や自分の〈死〉を見つめることで、
〈目に見えないもの〉や連綿とした〈いのちのつながり〉に触れることができると考えている人が多くを占めていることが分かってきます。
都市化の傾向を強める現代日本においては、
〈死者〉の存在感が希薄化しているのではないか、
かつて日本人が抱いていた死者と生者が「つながっている」という感覚は薄らいでしまったのではないかとの仮説を立てて臨んだ今回のリサーチでしたが、
かつてほど濃密ではなくても、
依然として〈死者〉とのつながりを大切にし、
〈死者〉に畏敬の念を持ちながら暮らしている日本人の姿が見えてきました。
死者を思ううえで大切なことは何か、
死に向き合うことの意味とは何か、
故人と「つながる」ことの意味とは、そして効果とは。
客観的な数値をベースにさまざまな角度から考察しています。
ぜひ、ご一読ください。
《目次》
プロローグ
死者とともにある日本人
データから見た日本人の死生観
男女で異なる死生観
個性化してきた人生の締めくくり方
目に見えないものの重要性
死者はこころの支えになりうるか
死者が教えてくれること
父母との別れ
父母を偲ぶ方法
男女で異なる父母への思慕
生前と死後では絆は変わるか
コラム
故人とつながることの意味と効果
昔の日本人の死生観
体験記録
癌が教えてくれた亡き父母の愛
死に対する考え方・価値観
データから見えた全体の傾向とは?
死に向き合うことの意味
コラム
都市化と死者
死者を思ううえで、大切なことは何か
学びあう魂
エピローグ
生と死はつながっている
倫理研究所ホームページ内
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