生きる道
丸山竹秋著
PHP研究所/¥952(税別)
A5判 255頁
45年にわたって倫理研究所の理事長を務めた著者は、
雑誌『倫理』に621本、『新世』に600本を寄稿したほか、
26冊の単行本を上梓するなど、膨大な量の原稿を書き遺しました。
それらの中から、「運命をひらく生き方」のエッセンスを抜粋し、
一冊にまとめたのが本書です。
本文は9章112編からなり、見開きで1編完結の短編集です。
人は、相手を責めるよりも前に、自分自身を改革せよ。かくすることによって、自らの人間性は高まり清められ、相手もそこを認めざるをえなくなる。
人を許さない者は、おのれ自身も人から許されない。そして苦しむだけである。人を牙でかめば、また自分も牙をもってかまれるのだ。
許すことは、妥協することではない。(中略)相手の人の魂を、同じ人間として認め、受け入れることなのである。
自分には厳しくとも、他人は許すがよい。自分の過ちには厳しく反省しても、他人の過ちには寛容であるべきだ。
(「人の世を生きる知恵」より)
人生いつでも順風満帆でありたいものですが、
「楽あれば苦あり、苦あれば楽あり」の繰り返しが人の世の常とも言えるでしょう。
もし、苦難に遭遇したとき、心の備えができていれば、
うろたえることなく受け止めて、
人生を切り拓くことができる、と著書は説きます。
それでも、どうにもならないときの心もちについて、こう記します。
どうにもならないものは、進んで喜んで受け入れるほかはない。
貧乏な家に生まれたことを悔やむよりも、むしろ「これがいいのだ」と、大いに張りきることだ。そして毎日毎日、気持ちを新しくもち、きょうも生まれ直して働くぞと、仕事に取り組んでいくことだ。そこに自分自身の開闢がある。開闢とは天地の開け初めのことだ。(中略)
自ら開発に転じて「さあ行こう」と積極的に打ちだしていくのが、人間の日々の開闢なのである。これは人間の変わり得る面であり、やればやれる部分なのである。(「逆境をはね返す」より)
人生は繰り返しの相にある。輪が巡るように、いつもまわっている。
繁栄と衰亡は、個人、団体、国家などにおいても、繰り返しているではないか。幸福や苦難もそうだ。幸福だといって、いい気になっていると、たちまち苦難がやってくる。苦難のただ中にほうりこまれているときでも勇んで喜んで働いていると、すぐに幸福が訪れる。
(「生命を育むもの」より)
日々の生活の心構えは言うに及ばず、
家庭、仕事への向き合い方や、
日本人としての誇り、死生観についても触れ、
豊富な例話をもとにピンチをチャンスに変える「生き方のツボ」が全編にぎっしりと詰まっています。
その一言ひと言が心に響き、新たな一歩を踏み出す勇気を与えてくれます。
物事に行き詰ったとき、
トラブルに見舞われたとき、
大きな障壁に進路を塞がれたとき、
本書を手にしてみてください。
活路が開け、そっと背中を押してくれます。
《目次より》
己を磨く
人の世を生きる知恵
日々の生活を大切に
道をひらく生き方
逆境をはね返す
日本人としての誇り
家族の絆
生命育むもの
本書は倫理研究所ホームページ内、
「倫理の本棚(オンライン)」よりご購読いただけます。