倫理の本棚ブログ

倫理研究所の出版物をご紹介します。

歓喜の人生

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丸山敏雄著
新世書房/¥1,000(税込)
新書判 272頁

 

敗戦後の混乱により、道義が退廃したわが国の姿を憂えて、
丸山敏雄は昭和20年9月に倫理運動と呼ばれる生活改善運動を創始しました。
その運動の拠って立つ所は、
長年の研究と実践の末に発見した「純粋倫理」という生活法則。
昭和26年12月に没するまで、純粋倫理に関する論文を数多く著し、
最晩年の3年間には6冊の書籍を上梓しています。
本書は、著者が遺した論文の中から15篇を厳選し、
没後5年を経た昭和31年に編まれました。
「純粋倫理の実践によって、悩みの人生が歓喜の人生へと一変する」という、
著者の信念が全篇に現われています。

 

 文化は進んだ。では人類は、文化の進んだだけ幸福になったか。交通は便利になり、おいしい物もたくさんできた。学問・教育も進んできたが、皆が金持ちになったのでもなく、病人が減ったとも考えられぬ。まして道義の点になると、年々人が善くなっていくとはどうしても思われぬ。(中略)

 これまで、「よい事をせよ、よい人になれ」と教えられてきたが、よい人が幸福になっているか、美人が幸福になれたか、きっとなれるという望みがあるか。反対に、悪人は不幸になっているか、悪い事をすればすぐに必ず不幸になるか。(中略)

 正直ものが馬鹿をみ、まじめな人が病気をし、働いても働いても金にめぐまれぬ。(中略)

 こうした行きづまった結果が、今日の暗い、気のぬけた、いまいましい、望みのない、だれきった世の中になってしまったのである。(中略)

 ここに苦しみ・悩みのほんとうの原因がはっきりわかり、これを右から左に解決するみちが発見された。それこそ人類が何千年たずね求めていた真の生活道、すなわち、ここにいう「新生活倫理」である。(「歓喜の人生」より)

 

あらゆる苦しみ・悩みの原因は、
人間だけが持ち合わせているわがままにあり、
このわがままを取り去り、純情(すなお)な自分を取り戻すことこそ、
万人が幸福を得る唯一の道であると著者は説きます。

 

人間も、地球上に生まれた大空の下に住んで、自然の中に生きている。ただの一秒でも、自然のきめごとの外に飛び出すことはできぬ。その肉体は、一から十まで大自然の法則に支配されている。

それがわかれば、上を見、下を見るだびに、物を見、わが肉体を見るにつけて、そのきめごとの見事さ、荘厳さにうたれ、その微妙さに感嘆せずにはおられぬであろう。人間がこのかないもせぬ大法則に反抗してバカをみていることを、カマキリがタンクに向かってカマを振り上げるにたとえよう。そして、やがてその下に敷きつぶされる愚かさを想像しよう。(中略)

朗らかになごやかに和合し協力していく事が人世のきめごとに従うことで、事業の成否に深い関係をもつことは、だれでも知っている。しかし血縁による約束(夫婦、親子といったような)を破ると大変な不幸に陥るという事、これを完全に守れば常識では知る事のできぬ幸福がめぐって来ることは、旧道徳の手の届かぬ分野あった。親とこの肉体の故障(病気、特に不具といったような)が、親子のきめごと(倫理)が守れていないところから起こる事がある。夫婦それぞれの病気が、夫のつとめ、妻の道が充分に守れていない事が原因となる事がある。すなわちその病気が「血縁の約束のみだれ」から来ていることが明らかになったならば、世の中はどのように浄化されるであろうか。新世倫理実践の運動は、こうした未知の分野の開拓に大はばに乗り出してきたのである。(「きめごと」より)

 

苦難について、
「人がその生活を誤って不自然な姿に立ち向かっている時、
これを警告してくれる自然の信号」と述べています。
悩みとは、実は歓喜の種子であり、

何を誤ったのかを悟ってすぐに改めれば、
苦痛は消え去り、歓喜の人生の扉が開かれるのだとも。

苦しみ・悩みに押しつぶされそうになったとき、
二の足を踏んで前に進めないとき、本書を開いてみてください。
次の一歩を踏み出す勇気と、
歓びの人生を切り拓く実践のヒントに、
きっとめぐり合えるでしょう。

 

《目次より》

今日は最良の一日、今は無二の好機
新しい見かた考えかた
得るは捨つるにあり
「うそ」から「まこと」へ
スナオな生活
きめごと
さかだちの人生
新生活は家庭より
耳の世界
文化について
人類の黎明
これからの教育
和の倫理の展開
易・不易の倫理について
歓喜の人生

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