倫理の本棚ブログ

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未来をひらく―東日本大震災から日本創生へ

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『未来をひらく―東日本大震災から日本創生へ』
丸山敏秋著
新世書房/定価¥1,000(税込)

B6版240ページ

 

平成23年3月11日、日本は未曾有の震災を経験しました。
著者は震災直後に被災三県へ赴き、
巨大津波の無惨な爪痕を目の当たりに、頻発する余震を体感しながら、
各県の避難所を巡り、被災者の声に耳を傾けました。
目を覆いたくなるような惨状の中、
そこには瓦礫と化した街中で奮闘する自衛隊の姿や、
秩序を保って結束し助け合う被災者の姿がありました。

 

 東日本大震災を振り返るとき、直接の被害者ではない筆者にも、悲しみや痛みを伴うさまざまな感動体験があった。そこに「純粋倫理」の確かさや、また課題を見つけることができた。

 あってはならない原子力発電所の大事故に対しては、驚愕と悔恨に胸が突き破られる思いがつづいた。しかしそれはまた、人類の新しい文明を築いていく契機となる出来事でもあると確信できた。

 先人たちが幾多の災害を乗り越えてきたように、われわれもまた大災害を越えて進んでいかねばならない。(序章「日本のふるさとを想う」より)

 

 

国難と言わしめる大震災のマイナス面ばかりに目を向けるのではなく、
好ましい出来事やプラスの影響を見出しながら、
日本を創造的に再生する契機としなければならないという思いから、
著者は本書を上梓しました。


第一章では実際に被災地を廻った経験や、
またはメディア等で報じられた内容を分析しながら、
「つながり・絆」が復興へもたらす力について述べています。


第二章では原発事故により露呈したさまざまな問題・課題を取り上げ、
「調和協調・共尊共生」の理念の上に立つ「地球倫理」の視点から、
原子力とエネルギーのあるべき未来について提言しています。


第三章では災害により顕在化した日本人の美質である利他的精神と勇気、
「献身の道徳」といった“強さ”と、
風評被害などで露わになった“弱さ”について論じています。


第四章では災いを福に転じ、
希望の未来を切りひらくために、
平時からどのような心持ちでいるべきなのか、
犠牲となられた人へどのような心を向けるべきなのか、
その要諦について「純粋倫理」の視点に立って説いています。


本書の最後では「結語―大転換期を生き抜くために」として、
いつまた震災が起こるともかぎらないこの時代を、
たくましく生き抜くための心得を、
①深める②高める③改めるの三つのキーワードで示し、 解説しています。


大震災から4年以上が経過し、
被災していない地域では、
当時の緊張感はだいぶ薄らぎつつあります。
しかし、被災地の復興は道半ばであり、
原発問題やエネルギー問題は解決の糸口すら見出させないでいます。
当時の記憶を風化させず、震災の意味を問いながら、
今私たちは何をすべきなのかを考えることが、
日本を真の復興へと誘い、
未来をひらく一歩となるはずです。
ぜひ、ご一読ください。

 

《目次より》

序章―日本のふるさとから想う

第一章「つながり」の復活

 1.大震災の被災地を廻って
 2.自衛隊の頼もしさ
 3.日本は「無縁社会」にあらず
 4.故郷のちから

第二章 原子力とエネルギーの未来

 1.現代文明を揺るがす「原発震災」
 2.放射能をめぐる安全と安心
 3.原発事故と技術者の倫理
 4.「地球倫理」からみた原発の未来

第三章 日本人の強さと弱さ

 1.災害に揉まれてきた日本人
 2.日本人の美質
 3.生きている「献身」の道徳
 4.克服したい日本人の弱点

第四章 希望の未来を切りひらく

 1.災いを福に転じる
 2.犠牲者へのまなざしと祈り
 3.天に対する人のみち
 4.太陽との結びつきを深める

結語―大転換期を生き抜きくために・・・

 

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