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よみがえるか、家庭 ― いのちはいつも、つながっている

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田中範孝著
新世書房/¥500 (税込)
B6判 144頁

 

核家族が当たり前となってどれほど経つのでしょうか。
さらに昨今では共働きの家庭が増え、
夜遅くまで進学塾に通う子供が増えるなど、
日本の家庭の様相は大きく変わりました。
 
家族が一つ屋根の下に住みながら、
食事をするのも生活時間もバラバラで対話もなく、
子供が何を思い、何を考えているのか分からない、
夫が、妻がどんなことを楽しみにして、
何をしようとしているのかまったく分からない。
そうした家庭が増え続けています。

 ある人に言わせれば、日本の家庭の八割が「機能不全」に陥っているといいます。親になりきれない親が増えており、その結果としての虐待、子どもの引きこもり、非行、その他、数々の陰惨な事件がそれこそ打ち寄せる波のように生じています。これらの問題こそは、親や大人たちにほんとうの愛を求めている子どもたちの必死の叫びに他なりません。
 そういうことをどれだけの人がきちんと受け止めているでしょうか。他人事でなく、自分の問題として捉えきれているでしょうか。(プロローグより)

 

本来、家庭は、家族が生活を共にする場というだけでなく、
安らぎの場であり、教育の場であるはずです。
さらには、生きる力の源泉となる場でもあるはずです。
 
家庭が本来持つべき機能を失い、
バラバラに崩壊しかけていることこそ、
現代を生きる私たちが最も憂慮すべき問題であると、
多くの識者たちが警鐘を鳴らしてきました。
本書ではそうした人々の論評を取り上げつつ、
家庭崩壊の危機を乗り越えた人々の実体験を紹介しながら、
問題解決の糸口を探り、家族のあるべき姿について考えます。

 心の分断化は、もちろん親子の間だけではありません。夫婦もまた同様のことがいえます。親も子も夫も妻も目に見えない絆で一つにつながっていることを今日ほど見つめ直してみなければならない時はないように思うのです。

 それこそがいま、瀕死の叫びをあげている家庭をよみがえらせる入り口にほかなりません。自分に与えられたいのちは自分だけのものでなく、周りのみんなとつながっているということを、そしてそれは悠久の古から永遠の未来にまで続いている、素晴らしいいのちであることをそれぞれが見つめ直してみる必要があるでしょう。(プロローグより)

 

人は自分一人では生きていけません。
さまざまないのちとつながりあっているのが人の生活であり、
そのつながりの基本となるのが家族であり、家庭です。
家庭の中で失われつつあるいのちのつながりの感覚をいかにしてよみがえらせるか、 そこに問題を切り開く重要な鍵があると著者はいいます。
ぜひご一読ください。

 

《目次より》

第一章 「崩壊」への危険信号

 インターネットの世界が変える子どもの世界/言葉の崩壊/
 あいさつができない子どもたち/教え力の崩壊/崩壊をはばむ最後の砦

第二章 打ち立てよう心の垂直軸

 体当たりのふれあい/魂と魂のふれあいこそ/妥協のない愛の厳しさ/
 子どもに何を伝えるか/わが家のルールを持とう/
 つながっているいのち/わが家ならではのカタチを

第三章 家庭づくりの主軸

 私一人が頑張っている/「あなたで良かった」/
 夫婦の一致が生み出すパワー/相手だけが悪いの?/
 自分が変われば/「むすび」が崩壊の危機を救う/
 夫の怒鳴り声が怖い/初めての母の抱擁/トラウマを乗り越える

第四章 負の連鎖を断つ

 親になりきれない親/わが子が可愛くない/
 親の通りを繰り返す/親を見つめる/
 「私は愛されている」の自覚から/荒れる息子に/
 よみがえる家庭/心のブラックボックスを埋める道

 

※本書は現在販売しておりません。(2016.10.17記)

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