「いのち」の輝き
丸山敏秋著
新世書房/¥1,500(税込)
B6判上製 296頁
「いのち」という言葉を目にしたとき、
皆さんは何を思い浮かべますか。
漢字では「生命」とか「命」と書かれる「いのち」ですが、
本来、大和言葉である「いのち」は、個の生命(命)の奥に広がって、
天地に満ちみなぎっている生命の根元を指しています。
太郎さんも花子さんも、皆それぞれの生命を有しています。その生命は、人間(人類)という種と化した「いのち」が、個々に内在して機能しているのです。人間の生命も、生物一般の生命も、その根底においては、万物の根底と「いのち」の次元において一つにつながり合っていることになります。(第一部「『いのち』に目覚めると生き方が変わる」より)
人やその他の生物をはじめ、すべての物事は、
見えない隠れた次元で一つにつながっているという、
「いのち」のとらえ方や価値観は、
古来より日本人に根付き、受け継がれてきました。
しかし、戦後、近代化という波に押されて、
日本人のそうした価値観は意識の外へ追いやられてしまいました。
自己の生命尊重を至高価値とする思想や教育が蔓延すると、誰もがエゴイズムの権化となり、無責任なモラルなき社会となります。その兆候がかなり前から、日本の社会にはっきり現れてしまいました。「いのち」への覚醒が求められているのです。(第一部「『いのち』に目覚めると生き方が変わる」より)
近代化された生活空間の中で、
近代的な思考様式や価値観、
功利性に比重を置くようになったことで、
現代人が見失いつつあるのが「いのち」です。
本書ではそうした「いのち」の輝きについて、
3つのアプローチにより綴っています。
第一部では世界に類のない自然豊かな日本の風土の特長と、
そこに根付いた世界最古にして最長の縄文文明を紹介しながら、
「いのち」とのつながりを密にしてきた日本人のルーツに迫ります。
第二部では、「いのち」を輝かせることで才能を発揮した、
日本と深く関わりのある4人の偉人の足跡を辿ります。
第三部では、著者が四季折々の自然との触れ合いの中で得た、
「いのち」に関する気づきや発見が、
詩歌を織り交ぜながら綴られています。
私たちが本来持っている感性や直感をのびのびと解放し、才能を開花させ、
いきいきと生きるために欠くことのできないものが、
「いのち」とつながる喜びであり、
「いのち」の輝きであると著者は訴えます。
ぜひご一読ください。
人間は未知なる存在です。人は自分のことですら、ほとんど何も分かっていません。そのような人間でも、「いのち」とのつながりが密になることで、驚くべき才能が発揮されたり、輝いて生きることができるのです。(エピローグより)
《目次より》
第一部 「いのち」と日本人
1.「いのち」に目覚めると生き方が変わる
2.日本列島という特異な風土
3.縄文文化こそ日本のルーツ
4.「いのち」と「かたち」と「たましい」
第二部 「いのち」を輝かせて生きた人たち
1.天智修羅―宮沢賢治の幻視力
2.没我献身―ヘレン・ケラーが信じた教え
3.野鳥開眼―中西悟堂の野生
4.人間未知―アレキシス・カレルの慧眼
第三部 四季の「いのち」に触れて
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