こころの平和 世界の平和 -やさしい倫理シリーズ④
倫理研究所編
新世書房/定価¥900(税込)
新書判 274頁
地球上の各地では、未だに紛争が絶えません。
政治、経済、民族、宗教、イデオロギーなど、
様々な原因が複雑にからみ合っているので、
これらを解きほぐして紛争を解決するのは並大抵のことではありません。
しかし、そうした紛争に限らず、そもそも“争い”とは、
自分を中心にものごとを考えるところから芽生えるのではないでしょうか。
「人より先に」「他より多く」「誰よりも上に」「自分だけが正しい」
とする利己心や我欲、それに伴う他者への責め心や憎み、差別、嫉妬など、
“こころ”の中に“争い”の根本原因があります。
本書ではそうした観点に立ち、
まず家庭や職場における平和を実現する道を、
さまざまな角度から提言しています。
倫理研究所は、一宗一派に偏らない道義の実践によって、世界の平和に貢献しようという団体である。(中略)
一人ひとりの会友が、学習や修養によって“平和なこころ”を紡ぎ出し、鍛え、それぞれの立場を弁え、各自の良心に基づいて実践する。遅々たる歩みかもしれないが、「急がば回れ」ということもある。意外や、この道が最も速いかもしれない。(「まえがき」より)
互いに自己主張しているだけでは対立は平行線のままだ。合一はしない。自分が歩み寄り、真の意味で相手の心が理解できたとき、解決の糸口がみつかる。
どれだけ相手の気持ちになって考えられるか。相手の心を感じとれるか。難しいことかもしれないが、不可能ではない。人間のみに与えられた理性を以ってすれば可能である。「分かってもらおう」とする努力より「相手を分かろう」とする努力だ。必ず道は開けていく。まずは親の子となろう。親の心、願いを知ることのできる子になろう。そして家族に喜ばれる人間になっていこう。これを基盤に、明るく問題に取り組んでいきたい。自分が決意し、心を目標に向けるとき、家庭が明るく変わっていく。平和への第一歩として、家庭を見つめ直してみようではないか。(第四章「家庭愛和が平和の鍵」より)
私たちが「こころの平和」を築くこと、
それを身近な周辺へ及ぼすことが「世界の平和」への第一歩です。
また、それと平行して進めなければならないこととして、
世界に眼を向け、世界のできごとに大いなる関心を寄せることの重要性が、
本書では随所に述べられています。
戦争というものは、いつの場合にも、立派な目的や、もっともらしい大義、なにほどかの正義を旗印として始められる。
私たちが再び過ちをくりかえさないためには、世界の鼓動を刻々と映す心電図を読みぬくことのできる「正しい目」(眼力)と、変貌する時代のかすかな足音を聴き分けることのできる「けがれのない耳」(聴力)と、この両方を備えることが必要条件となる。それを身につけるためにも、やはり歴史に学び、そこから教訓を得ることが、不可欠の勉強になりそうだ。(第六章「歴史から学ぶ」より)
私たち一人ひとりが他者の立場を認め、異質の考えを尊重し、
互いに協調しあう精神を養うことが、
「こころの平和」の基軸であり、
実践すべき大目標です。
そして、その実践の舞台は私たちの日常の身近な周辺にあることを、
本書を通じて、多くの方々に知っていただければ幸いです。
ぜひご一読ください。
《目次より》
序 章 今、平和を考える
生命の尊さを知る/かりそめの平和から真の平和へ
第一章 闘争につながる独善心
正論の押しつけが間違いのもと/己の尺度を捨てたとき真実が見える/相手の主張を受け入れる豊かさを
第二章 差別心が生む戦争
君の心に差別心はないか/現代の差別、学歴社会/勇気をもって夢を実現しよう
第三章 思いやりが平和を紡ぐ
愛と信頼が人を動かす/思いやりは勇気と誠実の証/最後まで笑顔を忘れなかった
第四章 家庭平和が平和の礎
家庭の不和も戦争の火種/親への恨み心が不幸を招く/分かろうとする努力が道を開く/地に足がついた運動を
第五章 「地球号」が危ない
小さな一石が社会を変える/環境破壊は地球を蝕むガン
第六章 歴史から学ぶ
歴史を追体験する意味/加害者としての日本を考える
終 章 始めよう、平和のためにできること
本書は倫理研究所ホームページ内
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