新世(2016年10月号)
倫理研究所/¥200
A5判 112頁
10月号の特集は「病から教えられたこと」です。
昔から「病は気から」と言われますが、
最近では医学分野においても、
心と身体の相関関係が研究され、実証されつつあります。
本特集では、「悪性絨毛上皮腫」「バセドウ病」「悪性リンパ腫」と向き合う、
3名の女性の疾病レポートを紹介しながら、
心の状態と病とのつながりについて考えます。
純粋倫理では「病気は生活の赤信号」と捉え、身体に何か不調が表われたときは、適切な治療を受けた上で、「日々の生活を見直してみましょう」とお伝えしています。
例えば、咳が出始めたら薬だけに頼らず、日々の生活習慣を見直す機会にしてみましょう。〈最近、少し無理をしたかな。そういえば夜更かしが多かった〉と、気づくこともあるでしょう。
気づいたら、生活を改める。胃がキリキリと痛み始めたら、日々の生活を振り返って、〈最近、不満ばかり言って、イライラしていたかな?〉と気持ちを整理してみるのです。
今月号では、三名の女性の疾病レポートが紹介されています。どの方も病を通して、自分自身の課題に取り組んでおられます。
ここで大切なのは、〈周りの人との関わりはどうだろうか〉〈きちんと感謝の気持ちを伝えられているのだろうか〉と自分を振り返り、不自然な生活を改め、心の癖を変えたことです。
〈せっかく生活を見直すチャンスを与えられたのだから、しっかりと改善していこう〉と捉えると、自ずと結果も違ってくると思います。
(「まとめ」より)
心と病気のつながりについて、
医師の久高学氏はこう語っています。
病気になって、健康や支えてくれる家族への感謝が深まった患者さんもいます。病は、様々なことへのありがたさに気づく機会にもなり得るのです。
近年は一人暮らしの方が増えています。そういう方々は、地域ボランティアや趣味の集まりに参加するなどしてほしいと思います。
様々な人と交流し、自分が人の役に立っていると実感すると、身体も〈がんばろう〉と治癒に向かおうとします。〈あの人の役に立ちたい〉と生きがいを見つけ、充実した毎日を送りましょう。
(「自己免疫力を高めるには」より)
連載の「わくわく子育て親育ち」では、
子供への叱り方や、親としての心構えについてお伝えします。
「明日へのエール」では、人間関係の悩みについて、
乗り越えるヒントや実践のポイントをお伝えします。
そのほか、「海外の倫理運動」では、
設立から16年を迎えた「ブラジル倫理の会」の活動と、
発足から今日に至るまでのエピソードを紹介しています。
ぜひご一読ください。
《目次より》
巻頭言
・新世言「違和感を成長の糧に」丸山敏秋(倫理研究所理事長)
巻頭連載
・気と骨―歩み続けるひとびと-三宅 隆(80)(博多人形師)
特 集
・病から教えられたこと
・レポート①「亡き夫との想い出が私の宝」
・レポート②「心境と病のつながり」
・レポート③「夫につながる安心感」
・医学的視点から「自己免疫力を高めるには」久高 学(医師)
連 載
・つなぎ拡がる倫理運動-教育創生フォーラムin長崎
・海外の倫理運動-「ブラジルに“倫理”の輪が拡がっています」
・活路は足もとにあり-「米も野菜も大地の恵み」丸山竹秋(倫理研究所会長)
・明日へのエール-「私もあなたも、誰もが素晴らしい」
・わくわく子育て親育ち-「叱り方について、考えてみませんか?」
・こちら生活相談室-「穏やかな暮らしを取り戻したい」「娘が元気になってほしい」
・体験記-「亡き父と母へ、あなたの娘で幸せです」
「夫婦で負債完済。晴れて創立35周年」
・にっぽん名勝紀行-「八甲田山山麓沼めぐり」山梨勝弘(風景写真家)
・摘んで、味わう野草帖-「ハギ」「ススキ」岡田恭子(料理研究家)
・世界一期一会-「ブータンその1」三井昌志(写真家)
・昔むかしの物語-「なら梨取り」すずき大和(絵本作家)
・心の摘み草-「できそうで、できないこと」岸本葉子(エッセイスト)
定期購読及びバックナンバーも購読できます。
倫理研究所ホームページ内
「倫理の本棚(オンラインストア)」よりお申込みください。
青春の倫理
丸山敏雄著
新世書房/¥1,000(税込)
B6判 184頁
「われ、一家繁栄愛和の中核たらん、一国再建和楽の柱石たらん、世界永遠平和の使徒たらん」。
この「青年三訓」は、
著者が青年に寄せた大志の有り様です。
倫理運動の創始者・丸山敏雄は、
青年をこよなく愛し、青年に大いなる希望と期待を抱き続けました。
本書は、昭和29年11月に刊行されました。
スマホもゲーム機もない時代で世相は今と大きく異なりますが、
「青年に向けた熱きメッセージ」は、色あせることなく、
現代の若者に大きな示唆と希望を与えてくれます。
これまでの日本の、なりたち、しきたり、いろいろの事、いろいろの物について、「これがよい」「これがわるい」と、ハッキリきめ得る者は誰であろうか。
ただ青年だけが、けがれない耳をもっている、正しい目がある。青年が本気になって祖先以来の日本の在り方をふり返って見、これからの先々の事を心配する時、日本の今の有り様が鏡に写したようにハッキリと分かってくる。まず自分のこれまでの事を充分ふり返ってみて、欲得をはなれて物を見、事にあたれば、きっとその善悪、正邪がはっきり分かるであろう。(中略)
かくて青年は、革新の原動力となり、新世の柱石となるのである。
(「青年よ、足下を掘れ」より)
心が揺れ動き、悩み苦しむのも青春時代の大きな特徴と言えるでしょう。
劣等感に悩む、自分の環境を嘆く、将来に希望がもてない、
恋愛に苦しむ……。
二の足を踏んで前に進めない若者の背中を著者は時に優しく、
時に力強く押してくれます。
青年諸君! 諸君は他に比べることのできない天下一品の肉体と世上無比の心をもって世に生まれた。その個性は、磨けば伸ばせば、際限もなく大きくなる己である。これと定まった運命に閉じられていると思うのは、己のからにとじこもった盲目、ひがめである。
自分の力は、無限である。世の中は広い、道はいくらでもある。何をくよくよしているのか。
志のあるところに、道が開ける。希望のあるところに、光がさす。太陽が昇れば、夜があける。熱がさせば、湿気はかわく。
心に太陽をかかげよ。
希望は心の太陽である。
(「希望」より)
他にも、希望、個性、仕事、娯楽、
結婚、男女の役割、性についてなど、丹念に綴った本書は、
多くの青年に、勇気と、希望と、活力を、与えてきました。
悔いのない人生を思うとき、壁にぶつかったとき、
大きな不安にさいなまれたとき、本書を開いてみてください。
一筋の光明が差し、解決の糸口が見つかるはずです。
《目次より》
青年よ、足下を掘れ
守れ紅の血を
娯楽の倫理
希望
若い世代に
喜ばす生活、困らす生活
生命
性の倫理
働くということ
青年よ大志をいだけ
対立の原理
本書は倫理研究所ホームページ内、
「倫理の本棚(オンラインストア)」よりご購読いただけます。
「心を探る」生き方リサーチ④ 日本人のゆくえ―倫理意識を通して
倫理研究所編
倫理研究所/定価 ¥500(税込)
B6判変形 60頁
日本はいま、
政治、経済、安全保障、伝統、文化など様々な分野で危機に直面しています。
なかでももっとも危惧すべきなのは、
“倫理”の分野ではないでしょうか。
しかしながら、日本人の倫理意識の変容については、
具体的に検証し、
データ化することは、これまでなかったといっていいでしょう。
そこで、倫理研究所では、
日本に留まらず、各国の倫理や道徳なども視野に入れながら、
古今東西の倫理観を25の項目〈倫理25〉にまとめあげ、
1,200人を対象にその共感度を測定する調査を実施しました。
2005年と2010年の2回にわたりリサーチしデータ化することで、
詳細な日本人の倫理観とその変容が見えてきました。
調査結果から見えてきた、〈今も守られている倫理観〉とは何か、あるいは〈多くの人が意識しなくなった倫理観〉とは何か。そうした結果の背景にはどのような要因が隠されているのか。本書はそうした疑問についてできる限りわかりやすく解説することを目的に書かれました。
(プロローグより)
〈倫理25〉の紹介
1.父母を敬うこと
2.祖先や神仏を大切にすること
3.妻や夫を尊重すること
4.兄弟姉妹は仲良くすること
5.目上の人を尊敬すること
6.礼儀正しくあること
7.冷静であること
8.思いやりをもつこと
9.勤勉であること
10.和を重んじること
11.他人を信じること
12.他者を尊重すること
13.物を大切にすること
14.困難を喜ぶこと
15.嘘をつかないこと
16.決断するべきときに決断すること
17.実行するべきときに実行すること
18.自分を信じること
19.希望を持つこと
20.勇気を持つこと
21.節制をすること
22.広く多く学ぶこと
23.主体性を持つこと
24.他を羨まないこと
25.命を尊重すること
〈倫理25〉への「個人的共感度」「社会的重要度」「個人的実践度」の三つを軸に調査した結果、共感度の高いものは以下のようになります。
「個人的共感度」
1位 礼儀正しくあること ……2005年 91.8%/2010年 94.6%
2位 父母を敬うこと ……2005年 89.1%/2010年 91.9%
3位 命を尊重すること ……2005年 88.5%/2010年 92.5%
「社会的重要度」
1位 礼儀正しくあること ……2005年 91.3%/2010年 94.8%
2位 命を尊重すること ……2005年 88.3%/2010年 92.2%
3位 父母を敬うこと ……2005年 87.4%/2010年 91.6%
「個人的実践度」
1位 礼儀正しくあること ……2005年 80.5%/2010年 79.7%
2位 命を尊重すること ……2005年 74.7%/2010年 79.2%
3位 思いやりを持つこと ……2005年 66.3%/2010年 68.8%
一方、押し並べて「他人を信じること」「他者を尊重すること」「困難を喜ぶこと」などの共感度が低いことが分かりました。
他にも、男女別、年代別などの詳細な調査・分析結果が綴られています。
日本人の倫理観をさらに高める必要性が叫ばれている現代社会において、
倫理観のどの部分が「危機」にあるのか、
その危機を脱するために、私たちは何を拠り所にして、
何に取り組むべきなのか。
本書は日本人の倫理観の現状を俯瞰し、客観的な指標を示しながら、
21世紀のあるべき日本人像について考察しています。
《目次》
プロローグ
日本人のいま
第一章 調査を分析してみる
〈倫理25〉の紹介
25項目と3軸の理由
〈倫理25〉の紹介時系列比較
個人的共感度のデータ
個人的共感度を時系列に分析
社会的重要度のデータ
社会的重要度の時系列分析
個人的実践度のデータ
個人的実践殿時系列分析
第二章 これからの方向性を探る
調査結果から見えてきたこと
10代の倫理性について
30代~40代の意識の特徴
50代以上の世代の特徴
「祖先神仏を大切に」が上昇傾向にある背景とは?
「他者を尊重すること」の本当の意味
「万象我師」を考える
コラム
日本の型(文化)が消えかけている
人は環境の生きものだから
エピローグ
私には何ができるか
倫理研究所ホームページ内
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