倫理の本棚ブログ

倫理研究所の出版物をご紹介します。

いかに乗りきるか

f:id:rinribook:20161028153547j:plain

丸山竹秋著
新世書房/定価¥900(税込)
新書判 298頁

 

人生を海に例えるなら、
いつも凪いでいるとは限りません。
学校では、受けなければならない難しい試験があったり、
職場では、容易でない交渉ごとや経営に直面したり、
また、家庭においても、様々な災難にあったり、いさかいが起こったりと、
荒浪に相当するような出来事がたくさんあります。

では、どうしたらその荒浪を乗りきっていくことができるのでしょう。

凪ぎの時になまけ、練習を怠っていては、
いざという時に櫓をこいでもうまくいくわけがありません。
オールの正しい持ち方、使い方、姿勢、力の入れどころなど、
日頃から基礎をしっかりと身に付けておくことがまず大切です。
そのうえで、著者はこう言います。

 

 まず荒浪にさからおうとしないことだ。さからうというのは、憎悪をもって反対、反撃しようとすること。あるいは憤怒をこめて押しのけようとすることだ。

 そうではないのだ。荒浪は起こる理由があって実際にそこにそうして起こっているのだから、それを受け入れ、その状態を利用して、それに乗っかっていくことだ。浪と喧嘩しても勝てっこない。サーフィンなどは浪に乗ることによって、前進できるのである。

 火事に対して、喧嘩してもはじまらぬ。憎悪も憤怒も、しばらくおあずけにして、すばやく水や消化液をかける。火の上に覆いをかける。人に知らせる……。

 いろいろな適切な手段、方法は憎悪や憤怒や恐怖などの無いときに、さっと頭にひらめき、実行されるのである。(「はじめに」より)

 

人間は荒浪に揉まれてこそ、人として磨きがかかり、
同時にそれを乗り越えたところに、
人生の面白味が湧くのだということを、
実際の体験を交えながら、解説しています。

 

 言いたいことを堂々とのべる。誰でもそう言いたいとは思っているだろうが、堂々とというのは、あんがいむずかしいのだ。それが証拠に、いつも堂々としている、という人は、わりあいに少ないからだ。(中略)

 上司におべっかをつかいやすい卑屈な心があるとか、保身にきゅうきゅうとしているとか、すぐに感情的になりやすいとか、いろいろと原因がある。では、そうした原因をすぐ排除できるかというと、おっとどっこい、そうかんたんには問屋がおろさぬ。持って生まれた性質は、なかなか直りそうもない。では、どうしたらよいのか。(中略)

 これにたいしてはつぎのように答えたい。それは「やっただけのことは、かならずある」という真理だ。やってもだめだではなく、やっただけのことは、たとえわずかに見えるかもしれないが、必ずそれだけの結果がある。

 たとえば仕ごとにうちこんでやる。するとわずかずつでもそれについては腕があがる。それだけエキスパートに近くなる。するとその点については堂々と、あるいは堂々に近い発言ができる。(中略)

 職場で働く以上は、自分の仕ごとに全力をかたむけようとする。それをしないで、堂々と発言することはできない。仕ごとに精出しただけ、その効果はどこかに出てくるものであり、そこが自信ともなる。だから堂々といえるのである。
(「堂々と言えるためには」より)

 

「どうしたら今を充実して生きることができるのか」
「迷いを捨てるにはどうすればいいのか」
「失敗したときにはどうすればいいのか」
「自分を好きになるにはどうしたらいいか」……など、
心配や、不安に駆られ
前へ進むことをためらうときに、
本書を開いてみてください。

著者のまっすぐで忌憚のないエールが、
あなたの背中を力強く後押ししてくれるでしょう。

 

《目次より》

第一章 今を充実して生きる
第二章 幸福は働きとともに
第三章 迷いを捨てて打開する
第四章 学ぶ気があるか
第五章 欠点を長所に変える
第六章 やってやってやりとおす
第七章 批判したくなるとき
第八章 自己の立場を自覚する
第九章 期待に応えられるか

 

倫理研究所ホームページ内
倫理の本棚(オンラインストア)」で販売しています。

世紀の歩調

f:id:rinribook:20161020125115j:plain

丸山竹秋著
新世書房/¥1,000(税込)
新書判 280頁

 

21世紀を7年後に控えた平成7(1995)年9月に、本書は刊行されました。
その年の1月には阪神淡路大震災、3月には地下鉄サリン事件
12月には福井県敦賀市高速増殖炉もんじゅ」で
ナトリウム漏洩事故が起きるなど、
国内においては世間を震撼させた事件が連続した1年でした。
一方、世界に目を転じてみれば、
地球温暖化、大気汚染、エネルギー問題、地域紛争や戦争など、
地球環境は悪化の一途を辿る時代にあって、
21世紀を調和の世紀とするために、
人はいかに処すべきか、それを説いたのが本書です。

 

人間と人間の不調和が原因となって地球の環境は崩されるのである。家庭や社会の問題、民族の対立、ひいては戦争も、一人ひとりが自分勝手な生活をすることを元にしている。これに対して、物だけではなく、人間自身を尊ぶことも軸にして考え、最重要視して、毎日の実践をしていきたい。実践は個々でも、地球人の目指すべき全体的目標に向かって、歩調をそろえ、足並みをそろえて進んでいかなければならない。それは、朗らかに楽しく進んで喜んで働き、仲良くする生活を毎日行なうことである。(中略)これを総括して「世紀の歩調」という。(「まえがき」より)

 

本書に貫かれているキーワードは「共尊」です。
人も、物も、自然も、すべては一つに繋がっていて、
どちらか片方が優れていて、片方が劣るという見方は、人間のエゴである、
と著者は説きます。
万物はみな等しく尊い、という考えに立ち、一人ひとりが歩みを進めるとき、
親子・夫婦間の家庭問題も、環境問題も、社会の問題も、
世界の紛争さえも、解決できると著者は訴えます。

 

人間は、本来わがままなものである。自分のよいようにしようとする性向を強く持っているものである。(中略)そうしたわがままを抑制し、自利、利他を営みつつ、真の幸福生活を建設しようとする本性もまた同時に持っているものである。

我々人類はすべからくこの「わがままの制御」を堅持し、自他を尊重し、大自然の調和を図り、万物共存共栄の実を挙げつつ、すべての物(人)を活用して、人類の大使命を実現するように努めたい。これが人間の倫理であり、地球に対する人間の倫理、つまり地球倫理の実践にほかならない。まず真っ先に、日本人みずからこの大目標に目覚めようではないか。(第7章「豊かさの中身」より)

 

刊行から20年を経た現代、温暖化は言うに及ばず、
市場経済、テロの脅威、紛争・戦争など、
私たちを取り巻く地球環境は一層深刻さを増しています。
大調和の世紀を創出し、
豊かで平和な家庭、社会、世界を築くために、
私たち一人ひとりにできることとは――。

本書を開いてみてください。
今日から取り組める身近な実践のヒントが詰まっています。

 

《目次より》

序 章 二十一世紀は調和の世紀
第一章 補い合いの妙趣
第二章 己を尊び人に及ぼす
第三章 心の砂漠化への歯止め
第四章 元は一つ
第五章 いのちを育む家庭
第六章 敬と愛の家庭学校
第七章 豊かさの中身
第八章 一人ひとりの地球倫理

 

ご購読は「倫理の本棚(オンラインストア)」よりお申込みください。

新世(2016年11月号)

f:id:rinribook:20161012161109j:plain

倫理研究所/¥200
A5判 112頁

「相手の話を“きく”」ときいて、
“聞く”と“聴く”どちらの漢字が浮かびますか?

“聞く”は、音や声を耳に感じ認めることであり、
“聴く”には、聞こえるものの内容を理解しようと、
「進んで耳を傾ける。傾聴する」という意味があります。

自分の気持ちを相手によく聴いてもらうと、楽になります。
逆に、相手の話をじっくり聴くと、理解がさらに深まり、
〈こういう見方や考え方もあるのか〉と、
学ぶ機会も生まれてきます。
夫婦、親子、兄弟、上司と部下など、
相手の話をよく“聴く”ことが、より良い関係を築き、
より深みのある人生に繋がっていくことでしょう。

11月号の特集は「聴く力を培おう」です。
どうしたら聴き上手になれるのか、
姿勢や心構えにも触れながら、
3名の体験レポートから探ります。

連載の「明日へのエール」では、
身内や自分自身に介護が必要になったとき、
どのような心持ちで向かえばよいのか、
実践のポイントやヒントをお伝えします。

「わくわく子育て親育ち」では、
家庭を明るく輝かせ、
子供の心を育む“言葉”について考えます。

今月号から「大切な人たちに伝えたい」を掲載。
今年、1都5県で開催した「青年フォーラム」(弁論大会)で発表された、
小学生たちの心温まる作文を紹介しています。
ぜひご一読ください。

 

《目次より》
巻頭言

・新世言「天皇陛下の御心に寄り添うとき」丸山敏秋(倫理研究所理事長)

巻頭連載
・歩み続けるひとびと「気と骨」[80]-横山慶子(83)
              (横山慶子舞踊団・横山慶子舞踊学園主宰)
特 集
・聴く力を培おう

 ・レポート「娘の受験も何事も相談。夫の的確なアドバイス」
 ・レポート「母を介し、弟の苦渋の決断が聴こえたのです」
 ・レポート「相槌を打ちながら、身を乗り出す姿勢で」
 ・寄稿「聴き上手になるのは、人生の豊かさに繫がります」兵働弘一(臨床心理士

連 載
・小学生の作文[1]「大切な人たちに伝えたい」
・明日へのエール[23]「今日も、笑顔で奉仕。心境によって、境遇も変わる」

・活路は足もとにあり[8]「いざ、読書の秋に」丸山竹秋(倫理研究所会長)
・わくわく子育て親育ち[11]「子育てのキーワードは何ですか?」
・にっぽん名勝紀行[11]「神話の里・高千穂」山梨勝弘(風景写真家)
・摘んで、味わう野草帖[11]「アケビ」「サンジソウ」岡田恭子(料理研究家)
・世界・一期一会[11]「ブータンその2」三井昌志(写真家)
・昔むかしの物語[23]「旅人馬」すずき大和(絵本作家)

 

定期購読及びバックナンバーも購読できます。

倫理研究所ホームページ内
倫理の本棚(オンラインストア)」よりお申込みください。

一般社団法人倫理研究所|倫理の本棚 無断複製・転載を禁じます。