倫理の本棚ブログ

倫理研究所の出版物をご紹介します。

「心を探る」生き方リサーチ② あなたも私も継承者

f:id:rinribook:20160609105314j:plain

倫理研究所
倫理研究所発行/定価 ¥500(税込)
B6判変型 60頁

 

かつての日本では、
「家」は祖先を尊び、脈々と受け継がれてきた「系」を重視するものでした。
ところが、戦後、西洋型の個人主義が広まったことで、
日本人の「家」に対する意識は大きく変わりました。
「私(個人)の自由」が優先されたことにより、
一人ひとりが「家」に縛られずにやりたいことをやり、
生きたいように生きるのが望ましいという風潮が生まれました。

一方そうした風潮にともない、
伝統文化や伝統工芸、農業、事業、家業などにおける、
後継者問題が深刻化しています。
現代の日本における「家や家業、家督の継承」は、
実際、どのような状況を迎えているのでしょうか。

本書は、「家の継承」について、
いまの日本人はどう考えているのか、
「誰が」「何を」継ぐのだと思っているのかを検証すべく、
2,400人へのアンケート調査を実施し、
その結果を考察したものです。

例えば、「家は誰が継承するのか?」については次のような結果が出ています。

【親世代/子世代】
長子・長男・長女・子供………44.3% / 39.6%
男子・長男・息子………………41.7% / 51.0%
自分・私…………………………8.6% / 5.1%
その他……………………………5.4% / 4.4%


また、「家は何を継承するのか?」では次の結果となりました。

【親世代/子世代】
家屋・土地・不動産・財産…………39.7% / 28.6%
家業・仕事・店・商売………………15.2% / 32.3%
墓・仏壇・仏具………………………12.7% / 6.9%
家系・家督・血筋……………………9.5% / 3.2%
名前・苗字・氏・姓…………………9.0% / 12.9%
伝統的なもの・先祖からのもの……4.8% / 3.8%
親の面倒………………………………0% / 3.6%
その他…………………………………9.6% / 8.6%


親世代、子世代ともに「家は子供が継ぐ」が一般的な認識であり、
〔家屋・不動産・財産〕などの「有形資産としての家」が、
多くの日本人が考えている相続の対象のようです。

ところが、〔家系・家督・血筋〕と、
〔名前・苗字・氏・姓〕という項目では数値が逆転していることから、
家系や家風といった「無形資産としての家」への思いには、
世代間で差異があるようです。

本書では他にも、
「継承という認識はどこから来るのか?」
「家は継承すべきか否か?」
などのアンケート結果を検証するとともに、
体験事例を挙げながら「継承問題の今」を考察しています。

「継がれる家」の実態と「継ぐ私」のその思いを調べていくと、
少子化や晩婚化、多様化するライフスタイルなどにより影響を受けるも、
「家の継承」とは、大切なものを後世に引き継ぐことであり、
すべての人に課せられた役割であることに気づかされます。

ぜひご一読ください。

 

《目次より》

プロローグ
 継がれる家。継ぐ私。

2,400人の日本人に継承について聞きました
 
家の継承とは何か?

 家は誰が継承するのか?
 家の何を継承するのか?
 継承=相続という認識はどこから来るのか?
 家は継承すべきか・否か?
コラム
 継承意識のいま

 「継承意識」はどう作られるか

体験事例に学ぶ「継承問題」
 
夫婦がひとつになって成就した「家と事業」の継承

 結婚19年目にして夫が養子縁組となった経緯
 「継承」への執着を手放したら、事態が好転

談話
 継承の大切なポイント
コラム
 型を継承する

エピローグ
 あなたも私も継承者

 

倫理研究所ホームページ内
倫理の本棚(オンラインストア)」で販売しています。

家庭をよくする-心の沙漠化を防ぐために

f:id:rinribook:20160609104433j:plain

丸山敏秋著
新世書房/定価¥500(税込)
B6判 168頁

 

日本の家族は、親子三代が同居することが当たり前だった時代から、
夫婦とその子供だけの小さな家族、
いわゆる核家族の時代へと変わってきました。
「核」という言葉には「中心」という意味がありますが、
現代の家族には中心があるのでしょうか。

 

 中心があれば、おのずとそこに家族の結びつきが生まれます。たとえばかつての父親は、一家の大黒柱として、中心の役割を演じていました。家事を切り盛りする母親は、父親とは違う隠れた中心の役割を果たしていました。あるいは、仏壇のような先祖を祀る場所も、家族の中心といえるでしょう。〔中略〕

 ところが今や家族は、個人の集まりのようになってしまいました。ミーイズムという自分中心主義が社会に蔓延してきて、それぞれが自分を中心に生活しているので、バラバラなのです。(第一章「三 変わりゆく日本の家庭」より)

 

核を失った家庭では家族の絆やつながりが薄まり、
「(父親・母親・子供)らしさ」といった特長が失われ、
「安らぎの場」としての機能を果たせなくなります。

さらにそうした家庭では、他者への思いやりや愛情が希薄化し、
「心の沙漠化」といった状況に陥ってしまいます。

家庭の大きな役割の一つが子供の教育です。
本書では、様々な問題を抱える現代日本の家庭・家族を概観しつつ、
子育てや家庭教育という最重要のテーマに強い光を当てて、
家庭の本質を問い直します。
そして、日本の家庭にも確実に広がってきている「心の沙漠化」を食い止め、
家庭をよりよくしていくための5つの提言をお伝えします。

提言の一つが「親が『手本』を示そう」です。

 

 親が子供に示すべき、いちばん大切な手本とは何でしょうか。言うまでもなく、それは夫婦が仲良くしていることです。
 わが子の前ではとりつくろって仲よくしていても、子供にはお見通し。隠していても子供は両親の様子を敏感に感じ取ってしまいます。そしてよき「かすがい」になるべく、賢明につとめてくれるものです。〔中略〕

 ところが夫婦の和合はなかなか難しいものです。新婚当初はよくても、しだいにピッタリ合わなくなってきます。合わなくなった関係の改善は大変ですが、合わせるための秘訣もあるのです。
 それは、自分が先に変わること。相手を変えようとするのではなく、自分を先に正すこと。物を操作するように、相手だけを変えようと操作する態度は大きな誤りです。自分が変わるというゴールデンルールだけでもしっかり押さえておけば、家庭がどれほど安らぎの方向に好転するでしょうか。(第二章「一 親が「手本」を示そう」より)

 

家庭の基本であり、家族の中心であり、
子の模範となる夫婦が5つの提言を真摯に実行するとき、
夫婦の愛和に根ざした安らぎのある家庭への扉が開かれます。
「これはわが家に欠けているな」と気づいた事柄があれば、
ぜひ取り組んでみてください。

また本書の巻末では、
「家庭をよくし、地域をよくし、日本をよくする」を目的に、
様々な活動を通して家庭倫理を全国で推進している、
「家庭倫理の会」のあらましと活動の意義について紹介しています。

同会を理解するうえでの手引きとして、
家庭倫理を学習する上での導入本として、
おすすめしたい一冊です。

 

《目次より》

序章 広がる心の沙漠化

第一章 家庭をしっかり見直そう
 一 日本に広がる心の沙漠化
 二 「家庭」という言葉に込められているもの
 三 変わりゆく日本の家庭
 四 複雑系としての家族
 五 教育の本質と原則を確認しよう
 六 家庭の力を呼び戻そう

第二章 家庭をよくする五つの提言
 一 親が「手本」を示そう
 二 「捨て育て」を実行しよう
 三 家の中の「きめごと」をつくろう
 四 祖先とのつながりを深めよう
 五 基本的信頼をはぐくもう

付録 社団法人倫理研究所と「家庭倫理の会」

 

※本書は現在販売しておりません。(2016.10.17記)

新世(2016年7月号)

f:id:rinribook:20160602133533j:plain

倫理研究所/¥200
A5判 112頁

 

『新世』は生涯学習総合誌です。
「なごやかな家庭をつくる」をベースに、
生活の指針を示す「新世言」や、
苦難は幸福の門を実証する「体験記」、
読者からの相談に答える「こちら生活相談室」などを掲載しています。
毎月、家族や親子のつながりを考え、
地域や職場の人間関係をよりよくするヒントをお伝えします。

7月号の特集では、先月号に引き続き「結婚」を取り上げ、
「親の願い」について考えます。
わが子の幸せを願わない親はいません。
子の結婚を望むのもまた、親心といえるでしょう。
とはいえ、縁は異なもの味なものといわれる通り、
結婚には、当人にとって最も相応しい時期があるものです。
子の結婚を願う親として、
その時期が来るまでどの様な心持ちで生活し、
どのように子と接してゆけばよいのでしょう。

 

親がわが子に、〈結婚して欲しい〉と望むのはごく自然な感情です。昨今、親御さんから、「○歳を過ぎた息子(娘)が結婚しなくて……」という相談を多く受けるようになりました。〔中略〕

結婚は当事者同士の問題ですから、第一に、本人の意思を尊重しなければなりません。親の意志を伝えるとき、「結婚しないと一人前じゃないのよ」とか「もういい歳なんだから」というように話を展開すると、逆に反発されかねません。デリケートな問題だけに、日頃から十分に親子間のコミュニケーションを深めるように努めましょう。

結婚に適齢期はありません。〈ご縁はどこにでもある〉と前向きに捉えましょう。わが子を信じ、〈どうかよき伴侶が現れますように〉と、祈り続けることも大切です。わが子だけでなく、〈結婚によって相手も幸せに・・・・・・〉と願えると尚よいでしょう。(「まとめ」より)

 

大切なのはわが子の気持ちを尊重し、前向きな気持ちで信じて待つこと。
また、子の模範となる親夫婦が自分たちの結婚生活を見つめ直し、
より愛和な生活を心がけること。
本特集では、そうしたポイントやヒントを、
3名の「体験レポート」を通してお伝えします。

丸山敏秋理事長による巻頭言「新世言」では、
「親子関係を築き直す」と題して、
少子高齢化が進む日本の現状を見つめながら、
高齢者との家族の絆を取り戻す必要性や、
介護は必ずしも苦痛ではなく、
新しい親子関係を築くチャンスであることを提言しています。

「こちら生活相談室」では、
義父母と教育方針が合わずに悩んでいる、
若いお母さんからの相談に対してアドバイスしています。
「暮らしの道しるべ」では、
生活をよりよくするための“今月の実践ポイント”として、
後始末の実践についてお伝えします。

若い世代から高齢者まで、
幅広い読者の方々にご愛読いただいている月刊誌です。
ぜひご一読ください。

 

《目次より》

巻頭言
・新世言「親子関係を築き直す」丸山敏秋(倫理研究所理事長)

巻頭連載
・気と骨―歩み続けるひとびと[76]-小泉景氏(86)(京印章印刻師)

特 集
・結婚②―親の願い

  体験レポート
  ・親思いの長女に感謝して、二人を見守りつづけます
  ・食卓の枝豆と、夫婦ならではの喜び
  ・亡夫と見守る、娘の新たなスタート

連 載
・明日へのエール[19]-「己の生きる姿勢を正し、人生の『花』を咲かせよう」

・わくわく子育て親育ち[7]-「よくなろうとする努力を褒めましょう」
・にっぽん名勝紀行[7]-「紺碧の海と白浜」山梨勝弘(風景写真家)
・摘んで、味わう野草帖[7]「オオバコ、スイカズラ」岡田恭子(料理研究家
・世界一期一会[7]-「インドそのⅣ」三井昌志(写真家)
・心の摘み草[437]-「片づけを再開する」岸本葉子(エッセイスト)
・昔むかしの物語[19]-「龍宮女房」すずき大和(絵本作家)
・思い出オルゴール[112]-「青い山脈

 

定期購読及びバックナンバーも購読できます。

倫理研究所ホームページ内
倫理の本棚(オンラインストア)」よりお申込みください。

一般社団法人倫理研究所|倫理の本棚 無断複製・転載を禁じます。